Landau の記号


既に何度も出てきてしまっているが, 所謂 Landau の記号 Landau's symbol について説明しておく。 尚, この記号は歴史的には Landau が初出ではないそうであるが, そうは言えども, 世界中で Landau's symbol で通用してしまっているので, 今更他の呼び名にするわけにはいかない。


先ず数列の場合。

数列 {an}, {bn} (但し bn > 0) とする。 {an/bn} が有界の時, an = O(bn) と書く (読み方は聞いたことがないが same order (同程度) と私は読んでいる)。 特に limn→∞ an/bn = 0 の時 an = o(bn) と書く (読み方は聞いたことがないが small order と私は読んでいる)。 an が有界数列であることは an = O(1) ということであり, limn→∞ an = 0 は an = o(1) ということである。


次に函数の場合。

函数 f(x), g(x) (但し a の近傍で g(x) > 0) を考える。 f(x)/g(x) が a の近傍で有界であるとき f(x) = O(g(x)) (as x → a) と書く (文脈により明らかなことが多いので屡々 (as x → a) の部分は省略される)。 特に limx→a f(x)/g(x) = 0 の時は f(x) = o(g(x)) と書く。 a = ±∞ であっても構わない。


一応初出に関しても述べておくと, O( ) という記号は Paul Bachamann (1937 -- 1920) の書いた Analytische Zahlentheorie (1894) に最初に表れる。 しかし, o( ) という記号は Edmund Landau (1877 -- 1938) によるもので Handobuch der Lehre von der Verteilung der Primzahlen (1909) によるのだそうである。 それまでは o( ) を { } で表していたという (Earliest Uses of Symbols of Number Theory による)。


次へ
函数の極限の目次