不等式の性質


すぐ分かるように, 等式と同じように次の性質が成り立つ。

a < b ⇒ a + c < b + c, a - c < b - c [単調法則 monotonicity]

他の不等号に関しても同様のことが成り立つけれどもここには書かない。 この単調法則によって, 等式と同じように移項が出来る。

a > 0, c > 0 ならば, 明らかに ac > 0 である。

さて a > b としよう。 b を移項して a - b > 0.
これと c > 0 を仮定すると (a - b)c > 0. 従って ac - bc > 0. bc を移項すると
ac > bc. 即ち

a > b, c > 0 ⇒ ac > bc. [単調法則 monotonicity]

c として 1/c を採用すれば

a > b, c > 0  ⇒ a/c > b/c.

ところが c < 0 の時は, 移項すれば -c > 0 であるから

a > b, c < 0 ⇒ -ac > -bc
⇒ bc - ac > 0 (bc を移項)
⇒ bc > ac (ac を移項)
⇒ ac < bc (反対称法則)

となるので

a > b, c < 0 ⇒ ac < bc, a/c < b/c

となる。 つまり負の数で両辺を掛算, 割算するときは不等号の向きが逆になることに気をつけなければならないということである。


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