微分 1 のところで 「平均変化率の 『平均』 は枕詞ではない」 と言っておきながら説明をしていないので, ここでする。
先ず普通 a1, a2, ... , an の平均は (a1 + a2 + … + an)/n である。 これは (a1 + a2 + … + an)/(1 + 1 + … + 1) と考えられる。 あまり見たことはないかもしれないが, c1 + c2 + … + cn ≠ 0 の時 (c1a1 + c2a2 + … + cnan)/(c1 + c2 + … + cn) を a1, a2, ... , an の重み {cn} による重み付き平均という。 普通の平均は重みが皆 1 であるものと考えられる。
これを積分が和の拡張であったことを思い出して, 積分に拡張して ∫ab w(x) dx ≠ 0 の時に (∫ab f(x)w(x) dx)/(∫ab w(x) dx) を函数 f(x) の重み w(x) による, 区間 [a, b] 上の重み付き平均と呼ぶことにしよう。
こうすると函数 f(x) の導函数 f'(x) を, 重み 1 で区間 [a, b] 上平均を取ると微分積分学の基本定理により
(∫ab f'(x) dx)/(∫ab 1 dx) = [f(x)]ab/[x]ab = (f(b) - f(a))/(b - a)
となる。 これが平均変化率であるから, つまりは, 変化率 f'(x) の区間 [a, b] 上の平均を取ったことになって, 文字通り 「平均の」 変化率と解釈されることになる。