指数函数と対数函数の連続性


ここに述べることは殆ど指数・対数の定義なので, 計算のみに興味がある読者や, 途中まで読んで興味を失った読者は飛ばしてしまうことをお勧めする。 興味はあるが分からないという人も, これから後の page を読むのには殆ど関係しないと思う。


今まで指数函数と対数函数の連続性を黙って用いているので, この辺できちんと述べておく。

指数も対数も底 a は a > 0 であるから, 以下 a > 0 とする。

さて先ず整数 n の (べき) であるが,

a1 = a,
an = an-1a

と決めるのは普通の通り (これは a = 0 でも a < 0 でも成り立つ)。

次に a0 = 1, a-n = 1/an と定める (これは a ≠ 0 で成立する)。 このように決めるのは, こうすると次の指数法則が成り立つからである。

[指数法則]

aman = am+n,
am/an = am-n,
(am)n = amn,
(ab)m = ambm
(a/b)m = am/bm.

自然数 n を 2 以上として, 函数 y = xn, x > 0 の graph を描いてみると分かるように, a = xn は a > 0 の時, 唯一つの解を持つ (という意味は y = a の graph と y = xn, x > 0 のgraph は唯一つの交点を持つということである)。 この解を n√a と書く。 定義から分かるように n√a  > 0,  (n√a)n = n√(an) = a である。 特に 2√a を単に √a と書く。

すぐ分かるように, n が奇数の時は a < 0 としても a = xn の解は (実数に) 唯一つだけ存在することが分かる。 従って実は n が奇数の時は a ≧ 0 に限る必要はない。 a < 0 で n が奇数の時は n√a  < 0,  (n√a)n = n√(an) = a である。 又 n が何であっても -n√a の意味ははっきりしているだろう。

n, m (m > 0) を整数とする。 このとき

an/m = (m√a)n = m√(an)

と定める。 n/m = p/q ならば an/m = ap/q であることが証明できる (証明略, この事実を数学では well-defined という。 ここの他にも良く出て来る概念ではある)。 この定義によっても, 上記の指数法則が成り立つことが確認できる。

a = 1 については, ∀r ∈ Q(ar = 1) だから, 全ての実数の指数に関してそのまま受け継がれる。 0 < a < 1 に関しては ar = 1/a-r = (1/a)-r であり, 1/a > 1 となるので, 連続性に関しては a > 1 の時だけについて考えれば良い。 よって以下暫く a > 1 とする。

ところで, 以降指数のほうを数列にしなくてはいけないので 「a の xn 乗」 を a^xn と表記することにする (これは一般的な表記である)。

x を (目標の) (無理) 指数とし, {xn} を単調増加で x に収束する (一つの) 数列とする。 有理指数の定め方から, 大小関係はそのまま保たれているので, {a^xn} も (a > 1 だから) 単調増加である。 又 x が有限の数だから {xn} が有界, 従って {a^xn} も有界。 だから, 「有界な単調数列は収束する」 という実数の性質 (公理) によって {a^xn} は収束する。 この値は別の x に収束する数列 {x'n} を用いても同じ値に収束することは, 数列 {a^(xn - x'n)} を考えると 1 に収束することから分かる (well-defined. 詳細省略)。 従ってこの値をもって ax の定義とする。 定義から, x < y, a > 1 ならば ax < ay であることも分かる。

ax の連続性は p < x < q, q - p < 1/n とするとき, ap < ax < aq を考えると, aq - ap = ap(aq-p - 1) < ap(a1/n - 1) であって a1/n → 1 (as n → ∞) であったから ap < ax-0 ≦ ax ≦ ax+0 < aq であるので分かる。

以上の議論から, 指数函数 y = ax, a > 1 は (狭義) 単調増加連続函数であることが分かった。 対数函数 y = logax はその逆函数なので, (正確には次に述べる中間値の定理を用いて) 証明される。 簡単に述べれば c で logax が不連続だったと仮定すると, b = loga(c - 0) と d = loga(c + 0) の間の値を取らないことになる。 指数に翻訳すると c - 0 = ab と c + 0 = ad の間がないことになって, それは実数が連続であることからいっておかしい。 ということで対数函数は連続である。


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