2008 年数学 II ・ B 解答と解説


第一問 (必答 30 点)

[1] 真数条件は x > 0 (1 点).

5y = 31+log10x - 1
 = 3・3log10x - 1 (1 点).

z = 3log10x と置くと,
5y = 3z - 1 > 0 から z > 1/3 (2 点).

更に
K = (3z - 1)/3 + 1/3log10x
 = z + 1/z - 1/3 (2 点)
 ≧ 2 - 1/3 = 5/3 (2 点) (相加平均・相乗平均の関係).
等号成立は z = 1/z ⇔ z2 = 1
z > 0 (実際は z > 1/3) より z = 1 (2 点) (1 > 1/3 より適).

このとき
3log10x = 1
より log10x = 0. つまり x = 1 (2 点).

それで 5y = 3z - 1 = 2 だから y = log52. (2 点)


極々普通。 相加平均・相乗平均を使う辺りが一寸難しい人もいるのか。
わざわざ 「真数」 の定義が書いてあるのには驚いた。


[2]

(1) θ = π とすると, Q の角は π/2 - π/3 = π/6 より
Q(2cos(π/6), 2sin(π/6)) = (√3, 1) (2 点).

(2) 0 < θ < π/2 とすると
aθ = π/2 - θ/3
6aθ = 3π - 2θ
(6a + 2)θ = 3π
故に θ = (3/(6a + 2))π (3 点).

0 ≦ θ ≦ (3/(6a + 2))π だから
-(1/(6a + 2))π ≦ -θ/3 ≦ 0 なので Q が動く角度は (1/(6a + 2))π である。 従って, 求める面積は
(1/2)・22・(1/(6a + 2))π = (1/(3a + 1))π (3 点).

(3) P(cos(aθ), sin(aθ)),
Q(2cos(π/2 - θ/3), 2sin(π/2 - θ/3))
= (2sin(θ/3), 2cos(θ/3)) だから

PQ2 = (cos(aθ) - 2sin(θ/3))2 + (sin(aθ) - 2cos(θ/3))2
 = cos2(aθ) - 4cos(aθ)sin(θ/3) + 4sin2(θ/3)
 + sin2(aθ) - 4sin(aθ)cos(θ/3) + 4cos2(θ/3)
 = 5 - 4(cos(aθ)sin(θ/3) + sin(aθ)cos(θ/3))
 = 5 - 4sin(θ/3 + aθ)
 = 5 - 4sin(((3a + 1)/3)θ) (ナ, ニ が各 1 点, sin の argument が 3 点).

(4) 基本周期が 4π だから
(3a + 1)/3 = 1/2.
3a + 1 = 3/2
3a = 1/2 即ち a = 1/6. (3 点).


特に難しい所はない。 自然に考えていけば出来る。


第二問 (必答 30 点)

(1) (1/8)x2 = -x2 + 3ax - 2a2 と置く。
x2 = -8x2 + 24ax - 16a2
9x2 - 24ax + 16a2 = 0
(3x - 4a)2 = 0 (元々共有点 P が一つしかないのでこういう自乗の形になるに決まっている)
x = (4/3)a.
y = (1/8)・(16/9)a2 = (2/9)a2.
故に P((4/3)a, (2/9)a2) (x 座標 3 点, y 座標 2 点).

f'(x) = (1/4)x より f'((4/3)a) = (1/3)a.
従って
y = (1/3)a(x - (4/3)a) + (2/9)a2
 = (1/3)ax - (4/9)a2 + (2/9)a2
 = (1/3)ax - (2/9)a2 (傾き 2 点, 切片 2 点).

(2) ∫02 (1/8)x2dx = (1/24)[x3]02 = 8/24 =1/3 (3 点).

-x2 + 3ax - 2a2 = 0 と置くと,
x2 - 3ax + 2a2 = 0
(x - a)(x - 2a) = 0 だから x = a, 2a (3 点).

a > 0 より 2a > a.
a2a(-x2 + 3ax - 2a2)dx = ∫a2a(-(x - a)((x - a) - a))dx
= ∫a2a(-(x - a)2 + a(x - a))dx = [(-1/3)(x - a)3 + (1/2)a(x - a)2]a2a
= (-1/3)a3 + (1/2)a3 = (1/6)a3. (3 点)

(3) 2a ≦ 2 とすると a ≦ 1 (2 点) よって 0 ≦ a ≦ 1 のとき S(a) = -(1/6)a3 + 1/3.

a ≦ 2 < 2a とすると 1 < a ≦ 2 (2 点) でこのとき
S(a) = 1/3 - ∫a2(-x2 + 3ax - 2a2)dx
= 1/3 - [(-1/3)(x - a)3 + (1/2)a(x - a)2]a2
= 1/3 - ((a - 2)3/3 a(a - 2)2/2)
= 1/3 - (1/6)(a - 2)2(2(a - 2) + 3a)
= 1/3 - (1/6)(a - 2)2(5a - 4)
= 1/3 - (1/6)(a2 - 4a + 4)(5a - 4)
= 1/3 - (1/6)(5a3 - 24a2 + 36a - 16)
= -(5/6)a3 + 4a2 - 6a + 3. (4 点)

1 < a < 2 で
S'(a) = -(5/2)a2 + 8a - 6 = -(1/2)(5a2 - 16a + 12) = -(1/2)(a - 2)(5a - 6).
これは 1 < a < 6/5 で減少, 6/5 < a < 2 で増加だから
a = 6/5 で最小値 (2 点) を取り, その最小値は
S(6/5) = -(5/6)・(6/5)3 + 3・(6/5)2 - 6・6/5 + 3
= -36/25 + 4・36/25 - 36/5 + 3 = 3・36/25 - (36/25)・5 + 75/25
= -2・36/25 + 75/25 = (75 - 72)/25 = 3/25. (2 点)


(1) は簡単。

(2) の積分計算は, 公式を使えばもう少し楽になるが, (3) を考えると, この形式でやっておく方が楽。
(3) の第二の場合の計算が一寸不安になるが, 計算間違いをしないように。 最後の最小値も同様。 この辺, 計算力が試されている。

(3) の場合分けは, 図を描いて考えた場合, 一寸混乱するかもしれない。


第三問 (選択 20 点)

(1) an = 7 - 4(n - 1) = -4n + 11 (2 点).

Σk=1nak = n(7 - 4n + 11)/2 = n(-4n + 18)/2 = n(-2n + 9) = -2n2 + 9n. (3 点)

(2) bn+1 - 2bn = p(n + 1)2 - q(n + 1) - r - 2(pn2 - qn - r)
= p(n2 +  2n + 1) - qn - q - r
 -2pn2      +2qn   + 2r
= -pn2 + 2np + p + qn - q + r
= -pn2 + (2p + q)n + (p - q + r) = -2n2 + 9n.

従って
-p = -2,
2p + q = 9,
p - q + r = 0.
つまり p = 2, q = 5, r = 3 (4 点)
であり, bn = 2n2 - 5n -3 だから b1 = 2 - 5 - 3 = -6 (1 点).

c1 = 1, cn+1 - 2cn = -2n2 + 9n から引き算して
cn+1 - bn+1 - 2(cn - bn) = 0
即ち dn+1 - 2dn = 0. (1 点).

d1 = c1 - b1 = 1 - (-6) = 7 で dn+1 = 2dn より
dn = 2n-1d1 = 7・2n-1.
即ち cn - bn = 7・2n-1.
つまり
cn  = 72n-1 + bn (3 点)
 = 7・2n-1 + 2n2 - 5n -3.
従って
Σk=1nck = 7(2n - 1)/(2 - 1) + 2・(1/6)n(n + 1)(2n + 1) - 5・(1/2)n(n + 1) - 3n
= 72n + (1/3)(2n3 + 3n2 + n) - (5/2)n2 - (5/2)n - 3n (2 点).
= 7・2n + (2/3)n3 - (3/2)n2 - (31/6)n - 7. (3 次の係数が 2 点, 残り全部で 2 点).


(1) はえらく簡単。

(2) の最初は恒等式の問題。 後半は, 何だか問題の為の問題というような気がする。 あまり良い問題とはいえない。 Σk=1nck の計算は一寸大変かも。


第四問 (選択 20 点)

本問では vectors はすべて太字斜体を用いる。

(1) |a - b|2 = |BA|2 = 3 (1 点).

従って
3 = |a - b|2 = |a|2 - 2ab + |b|2
 = 2 - 2ab + 2.
よって ab = 1/2 (2 点).

|b - c|2 = |CB|2 = 2.
|b|2 - 2bc + |c|2 = 2.
2 - 2bc + 3 = 2.
bc = 3/2 (2 点).

|c - a|2 = |AC|2 = 3.
|c|2 - 2ca + |a|2 = 3.
3 - 2ca + 2 = 3.
ca = 1. (2 点)

(2) OP = ta + (1 - t)b, 0 ≦ t ≦ 1 と置くことが出来る。
CP = OP - OC
 = ta + (1 - t)b - c.
CPa = t|a|2 + (1 - t)ab - ac
 = 2t + (1 - t)/2 - 1
 = 3t/2 - 1/2 = 0.
故に t = 1/3.
よって CP =  (1/3)a + (2/3)b - c. (2 点)

P は AP を (2/3):(1/3) = 2:1 = 1:(1/2) に内分 (1 点)。

又, CPb = (1/3)ab + (2/3)|b|2 - bc
= 1/6 + 4/3 - 3/2 = (1 + 8 - 9)/6 = 0. (1 点)

|CP|2 = (1/9)|a|2 + (4/9)|b|2 + |c|2 + (4/9)ab - (4/3)bc - (2/3)ca
 = 2/9 + 8/9 + 3 + 2/9 - 2 - 6/9 =(4 + 8 - 6 + 9)/9 = 15/9.
|CP| > 0 より |CP| = (√15)/3. (2 点).

CP⊥OA & CP⊥OB であるから CP は△OAB を含む平面と垂直。 即ち 3 (2 点).

△OAB = (1/2)√(|a|2|b|2 - (ab)2) = (1/2)√(2・2 - 1/4) = (√15)/4. (3 点)

四面体 OABC = (1/3)・((√15)/4)・|CP| = ((√15)/12)・(√15)/3 = 15/(3・12) = 5/12. (2 点)


びっくりする位簡単。 立体の形状なんかまったく想像出来なくても解けてしまう。

(2) の1:(1/2) に内分というのは引っかけなのか?
CPb の値は, 実は計算しなくても, 次の段落を読めば 0 以外にはあり得ないことが分る。
これに比して |CP| の計算はやけに面倒。


第五問 (選択 20 点)

(1) 平均値は (-12 - 9 - 3 + 3 + 10 + 17 + 20 + 19 + 15 + 7 + 1 - 8)/12 = 60/12 = 5.0. (1 点)

小さい順に並べ直すと:
-12, -9, -8, -3, 1, 3, 7, 10, 15, 17, 19, 20
なので, 中央値は (3 + 7)/2 = 5.0. (1 点)

(2) A での x の平均は (-12 - 9 - 8 - 3)/4 = -32/4 = -8.0. (1 点)

分散は (-12 + 8)2 + (-9 + 8)2 + (-8 + 8)2 + (-3 + 8)2
= (42 + 12 + 52)/4 = (16 + 1 + 25)/4 = 42/4 = 10.5. (2 点)

y の方の全平均は (6.0・4 + 21.5・8)/12 = (24 + 172)/12 = 16.333333...... ≒ 16.3. (2 点)

(3) 30℃→18℃ という変化は -12℃ であるから -12/21 = -1.0℃ 平均が下がる。 (2 点)
この変化は, 平均値に近付いているので, 分散は減少する。 即ち 1 (1 点)

(4) y の中央値は約 (21 + 12)/2 = 33/2 = 16.5 だから 2. (2 点)

修正後は約 (18 + 12)/2 = 30/2 = 15.0 つまり 1. (2 点)

(5) z の平均値を`z 等と表すことにすると
`z =`y -`x = (16.3 - 1.0) - 5.0 = 10.3. (2 点)

左の二つの点を計算してみると区別がつきそうなので, そこだけ計算してみる。
一番左側では y - x = 5 - (-12) = 17 なので, 1 か 2 の何れかである。
二番目を見てみると y - x = 4 - (-9) = 13 だから 1 である。 (2 点)

(6) (5) で選んだ 1 の分布図を見ると, 右下がりになっているので負の相関があるということが分る。 つまり 2 か 3.
z = y - x は寒暖の差を表しているので, 3. (2 点)


相変わらず, 何を狙っているのか分らない出題。
(1) の出題形式は意地悪にしか思えない。
(5) の後ろの方は一体何が訊きたいのかさっぱり分らない。
(6) も数学の問題ではないみたいである。


第六問 (選択 20 点)

(1) 4 (2 点) (swap の常套手段)

(2) 0 (2 点)

(3) ウ 5 (2 点) (常套手段)
 エ 1 (2 点) (loop の常套手段)

(4)

X Y 170 行 220 行
98 54    
    1 回目 1 回
54 44    
    2 回目 1 回
44 10    
    3 回目 4 回
10 4    
    4 回目 2 回
4 2    
    5 回目 2 回
2 0    
    6 回目  

と実行するので, 170 行は 6 回 (2 点), 220 行は 10 回 (2 点)。

(5) 2 (2 点) (常套手段)

(6) 3 (2 点) (数学的常識)

(7) 4 (1 点)

(8) 2 (2 点)

(9) 0 (1 点)


王道の Euclid 互助法が出てきて, かなり数学らしくなったが, きっとどの教科書にも書いてあってやり易かったのではないか。
(4) の様な loop 回数を数える問題は, 面倒なだけで, あんまりテストする意味がないと思われるのだがどうなのだろう? 他に訊くことがないのだろうか? この辺はいつものように, 自分が PC になったつもりで実行してみるのが一番良い。
(8) は 110 と 120 の間が普通なのではないだろうか?


センター試験の目次に戻る。