面積


最近は僕が生徒に質問しても, 何にも答えが返ってこなかったりするので, あんまり質問しなくなっちゃったんだけど, 以前はここの話になると, 必ず訊いた質問がある。 それは

面積って何 ?

っていう質問だ。 これは真面目な質問だよ。

生徒に以前こういう質問をすると返って来る最初の答えってのは 「縦掛ける横」 だったと思う。 「それは長方形の面積じゃん」 か何か言って, 黒板にいいかげんな図を書いて, 「じゃぁこれの面積は ? 縦ってどこ ?」 なんて意地悪な質問をしたものだった。

まぁとにかく分かって欲しいのは, 「面積って何 ?」っていう問は, ある特定の図形の面積をどう求めるかっていうことではなくって, そもそも 「面積」 というものはどういう風に決まっているのか ? ある特定の図形の面積はそれに従って計算すると, 公式通りになるってことだろ ? ってことなのです。

さて, じゃぁ面積とは何かってことを考えよう。 さっきの 「縦掛ける横」 ってのは, 実はいい線いってるんだよね。 それがヒント。

前に, 速さの話をしたとき, 速さってのは単位を知ってれば求め方が分かるって話をしたよね。 じゃぁ面積の単位は何 ?

面積の単位も実は色々あるけれど, 今一番基準になっているのは多分 m2 (平方メートル) だよね。 1 m2 って何 ? これは答えられるでしょ。 そう, 一辺が 1 m の正方形が囲んでいる 「面積」 だね。 これが定義なんだよ。

つまり, 面積っていうのは, 基準となる長さを一辺に持つ正方形を 1 という面積を持つと決め, あとは, それの何個分が入るか ? --- 勿論, 小数とか分数とかも入れてね --- って事なわけだ。 だから長方形は自然と 「縦掛ける横」 になるわけだね。 分数個とか, 小数個とか言わないように, 正式な数学では長方形の面積が 「縦掛ける横」 ってのを定義にするんだけどね。

小学校では, 他の図形の面積は何とか長方形に加工して面積を求めるようにしているんだ。 実際, 高等数学でも面積の定義は長方形が 「縦掛ける横」 の面積を持つと定めて, それが 「いくつ入るか」 で決めているんだよ。 小学校の算数だからって, 馬鹿にしちゃいけないよ (笑)。 小学校の算数で求める (平面の) 図形の面積で最も不思議 () つ難しいのは, 円の面積じゃないかと思う。 でも今度の教育課程じゃ, 円の面積も円周率が 「約 3」 だから情けないよね (笑)。 まぁそれはともかくとして, 私が小学生の時には, 方眼紙にコンパスで円を描いて, 円の中に入っている方眼は幾つか, 一所懸命数えたものだ。 君達も暇だったらやってみるといい。 円周率が 3.14 位だって事を実感できるから。

さて, 円の面積の話は又あとでするとして, じゃぁ面積をどうやって求めたらいいかというお話をしよう。 ここでする話はリーマン (Georg Friedrich Bernhard Riemann, 1826/9/17 -- 1866/7/20) が 1854 年の就職論文で書いたものを簡単に説明したもので, Riemann 積分と呼ばれているものなんだよ。

基本となるのは, 前の page で, 位置というものは, 時刻-速度 のグラフが囲んでいる面積を求めるのだということなんだ。 全体的に曲がっていると面積って求められないから, 時間の方をものすごく細かく分けることにする。 そうすると, ものすごく, 細かい時間で区切ったから --- よっぽど性質の悪い函数になっていない限り --- その区切りの中では速さはそんなに大きく動いていないはずだ。 最初の速度の函数を v = f(x) としよう。 x は時刻だよ。 時刻は a から b 迄の間で, 動いた距離 --- 即ち面積 --- を求めるのだとしよう。 細かく分けられた時刻を

a = x0 < x1 < x2 < …… < xn-1 < xn = b

とする。 その幅を dxi = xi - xi-1, i = 1, 2, ... , n, としよう --- d は 「差 difference」 の略。 区間 xi-1 ≦ x ≦ xi の間では, 先程言ったように, 速さ v = f(x) はそれほど変動していないはずなので, さしあたって, vi ≒ f(xi) だとしてしまおう (記号 ≒ は nearly equal ニアリー・イコールと読み, 大体等しいことを示す)。 すると, ここでの面積 (即ち移動距離) は (速さ掛ける時間だから) 大体 vidxi ≒ f(xi)dxi = f(xi)(xi - xi-1) に等しいはずだ。 求める面積 (つまり移動距離) はこれを i = 1 から n 迄足し合わせたものに大体等しくなるだろう。

つまり S ≒ f(x1)dx1 + f(x2)dx2 + …… + f(xn)dxn である。 ここから話が一寸いいかげんになるが, ここで, 区間の幅 dxi がどれも小さくなるように, 分割を無限に細かくすればついには誤差がなくなって, 面積が求まるだろう。 その面積を 「和を採った」 という意味で和の英語 sum の頭文字 s の昔の字体のイタリック体の文字を用いて

と書く。 読み方は 「インテグラル a から b 迄, f(x) dx」 と読むのが通例だ。 この記号を作ったのはライプニッツ (Leibniz) だ。

まだ, 面積っていうのをこうやって決めたらいいって話だけなのに注意してね。 計算が出来ないでしょ ?

じゃぁ 「区分求積法」 として知られている方法で, 放物線の場合にやってみよう。 --- この方法は難しいので分からなければ分からないで, 結果だけ見てくれればいい。

図で, 0 ≦ x ≦ b として, その面積を求めよう。 分割は等分割にして, n 個に分けよう。 すると, 0 < b/n < 2b/n < …… < (n - 1)b/n < n という風に分割され, 幅は皆 dx = b/n.

各分割をしたときの, 細い短冊の高さは, 右側を取ることにして, a(ib/n)2 であるから, 求める面積は大体

となる。 ここで密かに, 自然数の自乗和の公式
12 + 22 + 32 + …… +n2 = n(n + 1)(2n + 1)/6
を黙って用いている。 --- 証明が必要 ? さて, ここで分割を細かくしていくと, それは n が大きくなっていくということなので, 1/n や 1/(2n) はものすごく小さくなっていく。ということでそれらは 0 だと思ってしまうと, 結局面積は ab3/3 となる。

難しかったかな ?

これで前の page の表の 「?」 の欄が埋まった (笑)。 もう一度, そこを埋めて, ここに掲げると

速さ 位置 (面積)
v vx
ax ax2/2
ax2 ax3/3

さて, 何か気づいたろうか ? この表の下があるとしたらどうなるか想像がついたかな ?


岡部恒治氏は ax2 の積分については次のように説明しているので紹介しておく。

原点に頂点をもち, x 座標が a のところで, 一辺 a の正方形の切り口をもつ四角錐があるとしましょう。 これは y = x2 のグラフが, 図形的に具体的に描かれているものと思うことが出来ますね。 すると 0 から x 迄の所の体積が, x2 の積分になるわけです。 従って, 一辺 x の底面をもち高さ x の四角錐の体積からそれは x3/3 にならねばならないというわけだ。 これって分かり易いですか ? (私は分かりにくいと思う)


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