単項式の微分


[review 復習]

函数 y = f(x) に関し,

を x = a における微分係数といい, 函数

を元の函数の導函数という。導函数を求めることを微分するという。


函数のうちでいちばん簡単なのは何 ? って言うと, それは定数函数。 つまり x とはまったく無関係な定数 c を用いて, f(x) = c と書かれる函数。 例えば, f(x) = 1. つまり, x の値に関係なく, いつも同じ 1 って値の函数。グラフを描くと真横に一直線の函数だ。

この定数函数 f(x) = c を微分するとどうなるか ? 分からなければやってみるしかなくって, やるときは定義通りにやる。つまり f(x + h) = f(x) = c だから,

ってわけだ。つまり (c)' = 0. 言葉で言うと, 定数を微分すると 0.

次に簡単なのは ? って言うと, それは一次函数。つまり, 定数 a, b によって f(x) = ax + b と表される函数。 ここでは b は考えないで, f(x) = ax だけ考える。

この函数 f(x) = x を微分するとどうなるか ? やっぱりやってみるっきゃないので, 定義通りやる。すると

となる。 つまり (ax)' = a.

お次は f(x) = ax2 だ。 勿論 a は定数 (以下同じ)。 微分してみると

となる。つまり (ax2)' = 2ax.

次は f(x) = ax3 だけど, 多分, (x + h)3 が分からないだろうから, これを先ず最初にやっておこう。

(x + h)3 = (x + h)2(x + h) ………………… これが三乗の定義
= (x2 + 2xh + h2)(x + h)
= M(x + h) ………………………………… M = x2 + 2xh + h2 と置いた
= Mx + Mh ………………………………… 分配法則
= (x2 + 2xh + h2)x + (x2 + 2xh + h2)h …… M を元に戻した。
= x3 + 2x2h + xh2 + x2h + 2xh2 + h3 …… 再び分配法則。
= x3 + 3x2h + 3xh2 + h3 ………………… 同類項を (まと) めた。

これを用いると, 微分が出来て

となる。つまり (ax3)' = 3ax2.

もう少し調子に乗って, f(x) = ax4 もやってしまおう ! やっぱり (x + h)4 をあらかじめ計算しておく必要があるだろう。

(x + h)4 = (x + h)3(x + h)
= (x3 + 3x2h + 3xh2 + h3)(x + h)
= M(x + h) = Mx + Mh
= (x3 + 3x2h + 3xh2 + h3)x + (x3 + 3x2h + 3xh2 + h3)h
= x4 + 3x3h + 3x2h2 + xh3 + x3h + 3x2h2 + 3xh3 + h4
= x4 + 4x3h + 6x2h2 + 4xh3 + h4.

これから

即ち (ax4)' = 4ax3.

この辺で, もういいかげんなんか気付かない ?

そう, 何となく (axn)' = anxn-1 っていうのが公式として成り立ちそうだろう。 しかも, 定数の a ってのは, 前についてるだけで, あんまり意味なさそうだね。

実は, (af(x))' = af'(x) と, (axn)' = anxn-1 というのが公式として成り立つんだ。

最初の方は簡単に証明出来て,

だからなんだな。

次の方は, 一寸難しい。とりあえず, x0 = 1 だから (これが 0 でない数の 0 乗の定義), (c)' = (cx0)' = c×0×x-1 = 0 で成り立っているっていうことに注意しておいて, 同じものを引いて足すというテクニックを用いて
(x + h)n - xn = (x + h)n-1(x + h) - xn-1(x + h) + xn-1(x + h) - xn
= ((x + h)n-1 - xn-1)(x + h) + xn-1((x + h) - x)
であることを使うと, 数学的帰納法, つまり, n = 1, 2, 3, ...... と 小さい方では証明できていたとして,

であるので, 帰納法の仮定から (xn-1)' = (n-1)xn-2 を用いて

(xn)' = (n-1)xn-2x + xn-1 = (n-1)xn-1 + xn-1 = nxn-1.

実は, n は自然数でなくってもいいので, 一般に

,

となるように, 負の指数と, 分数指数に関して決められている。 それ以外に関しても決められているけれども, それはあとで。

これらの一般化された指数でも公式 (xn)' = nxn-1 は成立するのだが, それの証明は対数微分法というのを用いなければならないので, 又あとで。

ここでは雰囲気をつかんでもらう為に, f(x) = 1/x と, f(x) = 1/x2, それから f(x) = √x = x1/2 について微分してみよう。

つまり (x-1)' = (1/x)' = -1/x2 = -x-2 だから, ちゃんと公式通りだね。

又,

だから, (x-2)' =(1/x2)' = -2/x3 = -2x-3 で, ちゃんと公式どおりになっている。

最後に (a + b)(a - b) = a2 - b2 を用いた, 「分子の有理化」 と呼ばれるテクニックを用いて

だから, (x1/2)' = (√x)' = 1/(2√x) = (1/2)x-1/2 なので, ちゃんと公式どおりになっている。


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