接線


[review 復習]

a, b, c, n が x に無関係な定数であるとき

(c)' = 0, (xn)' = nxn-1.

[線型性] (af(x) + bg(x))' = af'(x) + bg'(x).

函数 y = f(x) に関し, x = a から, x = a + h 迄の平均変化率は

で, x = a における微分係数は

xy 平面において, y 軸に平行ではない直線はすべて y = ax + b という形で示され, a をこの直線の傾きという。


接線って何でしょうか ? 皆さんがちゃんと勉強している接線っていうのはもしかしたら円の接線だけかもしれませんね。 だとすると, 接線って何かっていうのは, あんまり良く分かっていないかもしれません。

接線と速さとは大きな関係があります。

その前に, 直線の傾きに関して, 一寸復習しておきましょう。

今, 函数 y = f(x) 上の二点 (a, f(a)), (b, f(b)) を通る直線の方程式を求めてみましょう。 この直線を表す式が y = cx + d であったとしましょう。 これが先程の二点を通るのですから

f(a) = ac + d
f(b) = bc + d

の両方を満たさなければなりません。引き算すると

f(b) - f(a) = bc - ac

即ち f(b) - f(a) = (b - a)c となります。 これから傾き c について解くと

となりますが, ここで特に h = b - a と置くと, b = a + h ですから, この傾きは,

x = a から, x = b = a + h 迄の平均変化率 に等しくなるわけです。 つまり, ここで, h を 0 にすると, 微分係数になる, というわけです。 ということは, 微分係数というのは, 函数 y = f(x) のグラフ上の二点を通る直線を求めておき, その二点が完全に一致したときの直線の傾きとなるわけです。 その直線が実は接線というわけです。その状況を Microsoft Excel 2000 を使って見てみましょう。 マクロは入っていませんので, Microsoft Excel 2000 があれば安心してみることができると思います。 ここで用いている函数は y = x3 - 3x2 + 4, 接点の x 座標としては x = 3/2 (= 1.5) を用いています。 尚, 別 window を開くように設定していますので, メモリ不足の環境にある人はやめておいた方が無難です。 では, こちらをどうぞ。 このデモを見て分かると思いますが, 接線というのは, 必ずしも, その点の他に, グラフと交点を持たない直線ではないということです。 円だと, そうなので, 何となく変な気がしたりします --- 私もそうでした。 でもこれが正しい接線なので, 慣れてください。 確かに, 接点の極めて近くでは, 他に交点を持たないということは大体分かりますが。

見ていただけましたか ? これが微分係数の意味なのです。即ち, 函数 y = f(x) の x = a における微分係数とは, その点に () ける接線の傾きであるということです。 このことは, グラフを無限に細かく切り刻んだときの残りが微分係数だということを意味しているのです。 --- このことは次のページで又出て来ます。

ところで, この h が 0 になるときに消えてしまう, 傾きを計算する為の三角形をバローの三角形というのだそうです。 このバロー Barrow という人はニュートンの先生だということですよ。

ではついでですから, 接線の方程式の公式を求めておきましょう。函数 y = f(x) のグラフの x = a に対応する点に於ける接線の傾きが微分係数 f'(a) であり, 接点が (a, f(a)) であることから, 直線の方程式 y = f'(a)x + b の定数 b を求めればいいことになります。

接点の座標 (a, f(a)) を代入すると, f(a) = f'(a)a + b ですから, b = f(a) - f'(a)a となります。元の式に代入して y = f'(a)x + f(a) - f'(a)a. 普通, これを次のように表します。

[接線の公式]

函数 y = f(x) のグラフの x = a に対応する点に於ける接線の方程式は

y = f'(a)(x - a) + f(a).

例) 函数 y = x3 - 3x2 + 4 のグラフの x = 3/2 に対応する点に於ける接線の方程式を求めよ。

解) 先ず, y' = 3x2 - 6x であるので, x = 3/2 のときは, y' = -9/4. 一方 y = 5/8 だから, 公式から


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