[9] x2 - y2 = 1.
|x| ≫ 1 の時, 与式の両辺を x2 で割って,
1 - (y/x)2 = (1/x)2.
x → ±∞ の時 1 - limx→±∞(y/x)2 = 0.
∴limx→±∞(y/x) = ±1.
y ± x = t と置けば, y = ± x - t (複号は逆順)。
故にもとの式に代入して
x2 - (± x - t)2 = 1 だから ± 2tx - t2 = 1
(複号は最初と同順). |x| ≫ 1 の時,
± 2t - t2/x = 1/x. ∴(limx→±∞ t
が確定と仮定すると) ± 2limx→±∞ t = 0. ∴limx→±∞
t = 0 (適). 従って y = ±x が漸近線。 (y
についても同じ結論が出る。)
x について判別式を取れば Dx/4 = y2 + 1 ≧ 1
(等号成立は y = 0 のみ).
y について判別式を取れば Dy/4 = x2 - 1 ≧ 0
でなければならないから, x ≦ -1, 1 ≦ x が定義域。
注: これは所謂双曲線 hyperbola である。 特に漸近線が直交しているので直角双曲線 rectangular hyperbola と呼ばれている。
[10] x3 - 3xy + y3 = 0.
|x| ≫ 1 の時, 与式の両辺を x3 で割って
1 - y/x2 + (y/x)3 = 0.
limx→±∞(y/x) が確定と仮定すると, この式から limx→±∞(y/x) =
-1 (適).
y + x = t と置けば y = t - x. もとの式に代入して
x3 - 3xt + 3x2 + t3 - 3t2x + 3tx2
- x3 = 0.
- 3xt + 3x2 + t3 - 3t2x + 3tx2 = 0.
|x| ≫ 1 の時, この式の両辺を x2 で割ると
3(1 - 1/x)t + 3 + t3/x2 - 3t2/x = 0.
limx→±∞ t が確定と仮定すると, x → ±∞ の時, limx→±∞ t
= -1 (適).
従って y = - x -1 が漸近線。
さて, ここで, 漸近線の別の求め方を示すと共に, graph を描いてみよう。
変数 m を x, y とは無関係として, 直線 y = mx と,
もとの曲線との交点は (代入して)
x3 - 3mx2 + m3x3 = ((m3 +
1)x - 3m)x = 0.
従って
(x, y) = (3m/(m3 + 1), 3m2/(m3 + 1)), (0, 0)
だが, 後者は前者に含まれると考えて, 前者のみ考える。
即ち
x = 3m/(m3 + 1),
y = 3m2/(m3 + 1).
今, m → -1 とすると, 明らかに (x, y) → (±∞, ±∞) (複号は逆順) で, 無限分岐があるので, 漸近線の存在を仮定して, それを y = αx + β と置く。 すると漸近線の定義より
3m2/(m3 + 1) - (3mα/(m3 + 1) + β)
= 3m(m - α)/(m3 + 1) - β → 0 as m → -1.
従って先ず 3m(m - α) → -3(-1 - α) = 3(α + 1) = 0 as m → -1 が必要。 即ち α = -1.
これを代入して
3m(m + 1)/(m3 + 1) - β = 3m/(m2 - m + 1) - β
→ 1 - β = 0 as m → -1
なのだから β = -1.
よって y = - x - 1 (言い換えると x + y + 1) は漸近線。
一方曲線の座標を代入してみると
x + y + 1 = 3m/(m3 + 1) + 3m2/(m3 + 1) + 1
= (m3 + 3m2 + 3m + 1)/(m3 + 1)
= (m + 1)3/(m3 + 1)
= (m + 1)2/(m2 - m + 1)
= (m + 1)2/((m - 1/2)2 + 3/4) > 0
だから曲線は x + y + 1 > 0 の側にだけ存在する。
次に m を媒介変数として微分すると
dx/dm = (3(m3 + 1) - 3m・3m2)/(m3 + 1)2
= (-6m3 + 3)/(m3 + 1)2 = 3(1 - 2m3)/(m3
+ 1)2,
dy/dm = (6m(m3 + 1) - 3m2・3m2)/(m3
+ 1)2 = 3m(2 - m3)/(m3 + 1)2.
∴dy/dx = m(2 - m3)/(1 - 2m3).
d2y/dx2 = (d/dx)(dy/dx) = (dm/dx)(d/dm)(m(2 - m3)/(1
- 2m3))
= ((m3 + 1)2/(3(1 - 2m3))(2(m3 + 1)2/(1
- 2m3)2)
= 2(m3 + 1)4/(3(1 - 2m3)3).
m | -∞ | … | -1-0 | -1+0 | … | 0 | … | 1/3√2 | … | 3√2 | … | +∞ |
dx/dm | + | + | 0 | - | ||||||||
x | 0 | → | +∞ | -∞ | → | 0 | → | 極大 3√4 |
← | 3√2 | ← | 0 |
dy/dm | - | - | 0 | + | 0 | - | ||||||
dy/dx | - | - | 0 | + | × | + | 0 | + | ||||
d2y/dx2 | + | + | 0 | - | ||||||||
y | 0 | -∞ | +∞ | 極小 0 |
3√2 | 極大 3√4 |
0 |
注: この曲線は folium cartesii (デカルトの葉線) と呼ばれ, 一般形は
f(x, y) = x3 + y3 - 3axy = 0, a ≠ 0
で, a > 0 の時, 上記の図で 3√2 を a・3√2 に, 3√4 を a・3√4 に読み替えればよい。 a < 0 の時は, x 軸と y 軸の符号が逆になっていると思えばよい。
上の図で, 原点 (0, 0) のように二つの滑らかな曲線の枝が交わる点を結節点 node という。 もしもこれが同一の接線を持つならばそれを尖点 cusp といい, 更にそれらが接線の同じ側で接するとするならばそれを嘴点という。
Folium cartesii は陰函数としての描き方もあるのだが, それは又後に扱うかもしれない。
[11] y = ex/(1 + ex).
1 + ex > 1 より, y 軸に平行な漸近線は存在しない。
limx→±∞(y/x) = limx→±∞(ex/(x(1 + ex))) = limx→±∞(1/(x/ex + x)).
ここで 0 < |1/(x/ex + x)| < |1/x| → 0 as x → ±∞. ∴limx→±∞(y/x) = 0.
x → -∞ の時, t = -x と置けば t → ∞ で
limx→-∞ y = limt→∞(e-t/(1 + e-t))
= limt→∞(1/(et(1 + 1/et)))
= limt→∞(1/(et + 1)) = 0.
∴漸近線 y = 0 を得る。
x → ∞ の時は
limx→∞ y = limx→∞ (1/(1/ex + 1))) = 1,
より漸近線 y = 1 を得る。
明らかに y > 0 である。
y' = (ex(1 + ex) - ex・ex)/(1 +
ex)2 = ex/(1 + ex)2 = ex(1
+ ex)-2.
y'' = ex(1 + ex)-2 + ex(-2)(1 + ex)-3ex
= (ex(1 + ex) -2e2x)/(1 + ex)3
= ex(1 - ex)/(1 + ex)3.
x | … | 0 | … |
y' | + | 1/2 | + |
y'' | + | 0 | - |
y | 変曲点 1/2 |