[review]
与えられた函数 f(x) に関し, それを導函数にもつ函数 F(x), 即ち F'(x) = f(x) を函数 f(x) の原始函数 primitive, primitive function という。
ある函数 f(x) の原始函数の一つを F(x) とすると, 他のすべての函数は定数 C を用いて F(x) + C と書ける。
[微分積分学の基本定理]
函数 y = f(x) は区間 [a, b] 上連続で, F'(x) = f(x) とする。
このとき
∫ab f(x)dx = F(b) - F(a).
さて, 「函数 f(x) の原始函数 (の一つ)」 といちいち述べているのは面倒だから, 記号を導入する。
函数 f(x) の原始函数を
∫f(x) dx
と書いて言及し, これを f(x) の不定積分 indefinite integral という。 困るのは 「不定積分と原始函数とどこが違うの ?」 という質問で, あんまりこういう言葉の違いにはこだわらずに何となく普通の人は使っている (^_^;
ところで良くこの不定積分を授業でやると dx ってのは何だ ? という質問を受ける。 事実としては, 定積分の下限を定めない ∫x f(t) dt の略記が, 不定積分の記号なので, 定積分に由来した x 軸方向の微細な長さ dx を意味しているのだが, 面倒なので最近は ∫と dx で 「積分するぞ」 って意味だ, と言うことにしている (笑)
この記号を使って不定積分をもう一度きちんと書くと, ある函数 f(x) の原始函数の一つを F(x) とすると,
∫f(x) dx = F(x) + C
と書ける。 この C を積分定数 integral constant という。 (いちいち言及する)
さて, 面積のところで懸案であった, 速さと位置 (グラフと面積) の関係であるが, それは今までの話で分かったと思うが, 導函数と原始函数の関係になっているわけである。
速さ | 位置 (面積) |
導函数 | 原始函数 |
v | vx |
ax | ax2/2 |
ax2 | ax3/3 |
この表から一般に axn の原始函数がどうなるか想像がついたであろうか ?
さて, 実際に導函数から原始函数を計算する方法を考えよう。
先ず (xm)' = mxm-1 であったことを思い出していただく。 これから両辺を m で割って, (xm/m)' = xm-1 となる。 公式としては ∫xn dx = という形にしたいので, n = m - 1 と置く。 即ち m = n + 1. このとき (xn+1/ (n + 1))' = xn. 勿論 0 で割ってはいけないから n ≠ -1 である。即ち
[公式]
C は積分定数である。 不定積分を計算することを積分する integrate という。
もしかして n = -1 だったらどうなるのだろう ? という疑問を持ったかもしれない。 それは尤もな疑問なのだが, 今それに答えるわけにはいかない。 何故ならその答えとなる函数を, 君は知らないかもしれないから。
ここで述べられる公式は多項式の微分で言及した線型性を積分の言葉で書き直して
[公式: 線型性]
a, b を x に無関係な定数とするとき
∫(af(x)+bg(x)) dx = a∫f(x)dx + b∫g(x)dx.
実際に右辺を計算するときの注意だが, 積分定数は一つだけでしかも C でいい。 なぜかというと, 確かに ∫f(x)dx = F(x) + C1, ∫g(x)dx = G(x) + C2 (C1, C2 は積分定数) として代入すると
∫(af(x)+bg(x)) dx = a∫f(x)dx + b∫g(x)dx
= a(F(x) + C1) + b(G(x) + C2)
= aF(x) + bG(x) + aC1 + bC2
であるが, 定数であることに変わりはないので, 新たに C = aC1 + bC2 と置けばいいわけである。
又定数 c に関しては c = cx0 だから,
∫cdx = c∫x0dx = c(x0+1/(0 + 1)) + C = cx + C, C は積分定数
となる。
それから殆ど定義から明らかだと思うが
(∫f(x)dx)' = f(x), つまり不定積分を微分すると被積分函数が出てくる。
∫f'(x)dx = f(x) + C, C: 積分定数, つまり導函数を積分すると, 微分が取れるけれども積分定数を忘れてはいけない。
例: [1] 計算せよ。
(1) ∫x2001dx = x2002/2002 + C, C: 積分定数。
(2) ∫(5x9 + 2x5 + 4)dx = 5(x10/10) + 2(x6/6)
+ 4x + C
= x10/2 + x6/3 + 4x + C, C: 積分定数。
注: 不定積分は自信がなくなったら微分して確かめること。
(3) ∫24(2x3 - 3x2 + 5)dx = [x4/2 - x3 + 5x]24 = (128 - 64 + 20) - (8 - 8 + 10) = 128 - 64 + 20 - 10 = 128 - 54 = 74.
(4) ∫3-1(-3t - 2)(t -1)dt = ∫3-1(-3t2 + t + 2)dt = [-t3 + t2/2 + 2t]3-1 = (1 + 1/2 - 2) - (-27 + 9/2 + 6) = -1 + 1/2 + 21 - 9/2 = 20 - 8/2 = 20 - 4 = 16.
注: この問題でやったように, 被積分函数が因数分解されているときは, 現在の所展開する以外に方法がない。 勿論もっと勉強が進むと別の処理ができるようにはなる。
[2] 次のような面積を求めよ。 (これらの解は別の page に)
(1) 三次曲線 y = x3 - x2 - x + 3 と x 軸, 直線 x = -1, x = 1 で囲む部分の面積。
(2) 放物線 y = -x2 + 6x - 5 と x 軸とが囲む部分の面積。
(3) 曲線 y = x3 - 5x2 + 2x + 8 と x 軸とが囲んでいる部分の面積。
(4) 二つの放物線 y = x2 - 2x と y = 6x - x2 とが囲んでいる部分の面積。