函数の決定


次の style の問題が良くある。

例: 次の等式が成り立つように定数 a, b 及び c の値を求めよ。

(1) limx→1 (x2 + ax + b)/(x - 1) = 3.

(2) limx→1 (ax + b - √(x + 3))/(x - 1)2 = c.

解:

(1) 先ず limx→1 (x - 1) = 0 であるから, limx→1 (x2 + ax + b) = 1 + a + b = 0 以外ではありえない。 もし limx→1 (x2 + ax + b) = 1 + a + b ≠ 0 であったとしたら, limx→1 (x2 + ax + b)/(x - 1) は発散してしまうので 3 にはなり得ないから。 従って a =  -(b + 1) でなければならない (必要条件)。

ここの議論は limx→1 (x2 + ax + b) = (limx→1 (x2 + ax + b)/(x - 1))・(limx→1 (x - 1)) = 3×0 だからという議論も可能である。

さてこの式を原式左辺に代入すると

limx→1 (x2 + ax + b)/(x - 1) = limx→1 (x2 -(b + 1)x + b)/(x - 1) = limx→1 (x - b)(x - 1)/(x - 1) = limx→1 (x - b) = 1 - b

で収束して, 題意より 1 - b = 3. 従って b = -2, a = 1. このとき逆に与式を満たす。

「このとき逆に与式を満たす。」 というのは a = -(b + 1) が必要条件であって, 十分条件ではないからなのだが, 習慣に従って書いたまでで, 上記のように左辺の収束性を先に述べてしまえば, 等号が成り立つように未知数の値を求めたのであるから, 本来必要ないと思われる。 何故所謂 「受験数学」 で 「逆に...」 という一文を入れさせられるかというと, 分母 → 0, 分子 → 0 だとしても, 例えば h/h2 (h → 0) の場合はのように, 収束しないものが存在するからである。 従って, 収束性さえ述べておけば, 本来 (等号が成り立つように未知数を求めているのだから) 「逆に...」 という一文は必要ないのである。

(2) (有理化を考えても出来るが, 大変なので,) t = √(x + 3) と置く, すると x = t2 - 3 で, x → 1 の時, t → 2. さてこうすると問題の式は limt→2 (a(t2 - 3) + b - t)/(t2 - 3 - 1)2 = c, 即ち

limt→2 (at2 - t - 3a + b)/(t2 - 4)2 = c

となる。 この式において, imt→2 (t2 - 4)2 = 0 であるから limt→2 (at2 - t - 3a + b) = a + b - 2 = 0 以外ではあり得ない。 即ち b = -(a - 2) = -a + 2. これを代入して

limt→2 (at2 - t - 3a + b)/(t2 - 4)2 = limt→2 (at2 - t - 4a + 2)/(t2 - 4)2
= limt→2 (a(t2 - 4) -(t - 2))/(t2 - 4)2 = limt→2 (t - 2)(a(t + 2) - 1)/((t - 2)(t + 2))2
= limt→2 (a(t + 2) - 1)/((t - 2)(t + 2)2) = c.

この式でも尚 limt→2 ((t - 2)(t + 2)2) = 0 であるから limt→2 (a(t + 2) - 1) = 4a - 1 = 0 以外ではあり得ない。 即ち a = 1/4 でなければならない (必要条件)。 これから b = 7/4.

さて, a = 1/4 を先程の式の左辺に代入すると

limt→2 (a(t + 2) - 1)/((t - 2)(t + 2)2)
= (1/4)limt→2 ((t + 2) - 4)/((t - 2)(t + 2)2) = (1/4)limt→2 (t - 2)/((t - 2)(t + 2)2)
= (1/4)limt→2 1/(t + 2)2 = 1/64

となって収束するので十分で, 且つ c = 1/64.


練習:

[1] 次の各々の等式が成立するように定数 a, b の値を求めよ。
 (1) limx→-1 (ax2 + bx)/(x2 - 2x - 3) = 1/2.
 (2) limx→0 (√(a + x) - √2)/x = b.

[2] x → 0 の時 (√(1 + x) - (1 + ax + bx2))/x3 が有限な極限値を持つためには, 定数 a, b はいかなる値を採らねばならないか。 又その時の極限値を求めよ。

略解:

[1] (1) a = b = 2, (2) a = 2, b = (√2)/4, [2] a = 1/2, b = -1/8, 極限値は 1/16.


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