分点とその位置ベクトル


二つの相異なる点 A, B を与えるとき直線 A∪B, 即ち A と B を結ぶ直線が一本定まる。 この直線上にある点 P が A とも B とも異なるとしよう。 この時点 P は線分 AB の分点 dividing point という。

更に今, 点 P は線分 AB の内点 interior point, inner point 即ち線分 AB の内両端点 A, B 以外の点であるとするとき, 点 P は線分 AB を内分する divide internally といい, 点 P を内分点 internally dividing point という。 又, 点 P が直線 A∪B 上の点で線分 AB の外点 exterior point, outer point, 即ち直線 A∪B から (両端点を含む) 線分 AB を除いた部分の点であるとき, 点 P は線分 AB を外分する divide externally といい, 点 P を外分点 externally dividing point という。

上の図で, 青で描いた P が内分点, 赤で描いた P1, P2 が各々外分点である。


さて, 今度は分点の比について考えよう。

点 P が線分 AB の内分点で AP : BP = m : n であるとき, 点 P は線分 AB の m : n 内分点であるといい, 点 P は線分 AB を m : n に内分するという。 特に点 P が線分 AB の中点であることと, 1 : 1 内分点であることとは同値 (同じこと) である。

同様に, 点 P が線分 AB の外分点で AP : BP = m : n であるとき, 点 P は線分 AB の m : n 外分点であるといい, 点 P は線分 AB を m : n に外分するという。 注意して欲しいのは次の図に見えるように, 先ず m ≠ n で, m > n の時は点 P は線分 AB の延長上に, m < n の時は点 P は線分 BA の延長上にあるということである。

もしも線分の長さに符号をつけるとするときには, 内分点も外分点も AP : BP = m : n の比の分点として定まり, m > 0, n > 0 の時内分点で, mn < 0 の時外分点を表している (m < 0, n < 0 も内分点と考えて差し支えない)

ここで一寸符号付きの線分の長さについて述べておこう。

即ち ∃m > 0 (AP = mPB) の時, AP と BP は同符号と定め
∃m > 0 (AP = -mPB) の時, AP と BP は異符号と定める。
勿論 AP = -PA と定める。


次に内分点, 外分点の位置ベクトルを線分の両端点の位置ベクトルで表すことを考えよう。

最初に内分点について考える。

今適当に原点を定めて A(a), B(b), P(p) として, 点 P は線分 AB の m : n 内分点であるとする。

図を見ればすぐ分かるように p = OP = OA + AP である。

定義から OA = a なので, APab で表せばよい。 AB || AP に注目すれば
AP = (AP/AB)AB = (m/(m + n))AB.

これを代入して p = a + (m/(m + n))AB.

これに, 位置ベクトルのところで述べた公式を代入して
p = a + (m/(m + n))(b - a) = ((m + n)a + mb - ma)/(m + n).

即ち

ここで (分子の) m と n の順番を間違えてはいけない。

次に外分の時を考える。 m > n の時は下の図に見えるように, 点 P が線分 AB の m : n 外分点であることと, 点 B が線分 AB の (m - n) : n 内分点であることは同値である。

従って, 上に述べたように
b = (na + (m - n)p)/((m - n) + n) = (na + (m - n)p)/m.
即ち mb = na + (m - n)p.

故に p について解いて (m > n だったから m - n > 0 である)

となる。

m < n の時も同様に,

先ず a = ((n - m)p + mb)/(m + (n - m)) = ((n - m)p + mb)/n.
∴ na = (n - m)p + mb.
∴ -na = (m - n)p - mb.

故に p について解いて (m < n だったから m - n < 0 である。 従って上記のものと分母の符号が違う)

となって, この場合も同じ式が成り立つことが分かる。 又分点の比を符号付きで考えれば, これらの式は内分点の位置ベクトルの公式に含まれることも分かる。


例: 平行四辺形の対角線は互いに他を二等分する。

証明: OACB を考え, 点 O に対する位置ベクトルを A(a), B(b), C(c) とする。

Vectors の和の定義から c = a + b. よって, 線分 OC の中点の位置ベクトルは
c/2 = (a + b)/2.

又線分 AB の中点は, 線分 AB の 1 : 1 内分点であるから, その位置ベクトルは (a + b)/2 である。 よって両者の位置ベクトルが一致するので, 線分 AB の中点と線分 OC の中点は一致する。 即ち平行四辺形の対角線は互いに他を二等分する□


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