位置ベクトル


前の page で我々は座標を vectors と考えることが出来ることを見た。 今度はその逆を考えてみよう。

今, 考えている平面上に一つの点 O を定める。 この点を原点 the origin という。 今, 一つの vector a を考え, a = OA となる点 A を定める。 Vector というものは定義によって, 向きと長さとを定めるから, 原点 O からの向きと距離が定まるので, a によって点 A は唯一つに定まる。 逆に点 A が最初から与えられていれば, a として OA を採れば良いから, 原点が定まっているとき, 原点を始点とする vector と, その終点となる点との対応は一対一である。

従って前頁の 逆, 即ち vectors を座標のように考えることが出来るのである。

このように座標のように考えている vector a が点 A を定めているとき, a を (原点 O に関する) 点 A の位置ベクトル location vector といい,

A(a)

と書く。 多くの場合位置ベクトルの始点は O なので, 特に断らない限り位置ベクトルの始点は O であると考えて良い。 尚, この記法は a = (x, y) ならば直交座標のそれ A(x, y) に対応している。

尚, 物理の方では始点の定まっていない vectors を自由ベクトルといい, それに対し, 位置ベクトルのような始点の (常に) 定まっている vectors を固定ベクトル, 束縛ベクトルと呼ぶようである (最新版の岩波理科学辞典に出ていないところを見ると, もしかするとこの言い方は古いのかもしれない)

更に 「ベクトルの減法」 のところで述べたように, 次のことが成立する。

A(a), B(b) とすると

AB = b - a.

標語的にいうと 「二点を結ぶ vector は位置ベクトルを後ろから前に引くと得られる」 ということである。


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