内積の定義


a ≠ 0, b ≠ 0 とするとき

ab = |a||b|cos ∠(a, b)

と定義する。 これを vector a と vector b内積 inner product, 又はスカラー積 scalar product, 又はドット積 dot product  という。

内積というのだから外積というのもあるかというと実はある。 そして容易に想像できるように, これは vector product とも呼ばれている。

右図で AH = |a|cos ∠(a, b) であるから, 内積とは 「vector a の vector b の向きに影響する大きさの積」 と思うことが出来る。

∠(a, b) が一般角である場合も ∠(a, b) = ±θ + 2nπ (n ∈ Z) なのだから

cos ∠(a, b) = cos(±θ + 2nπ) = cos(±θ) = cos θ

であるので, この場合にも常識的な範囲 (0 ≦ ∠(a, b) ≦ π) でとっている場合でも曖昧性なく定義出来ている。

ところで a = 0 又は b = 0 の場合には ∠(a, b) は未定義であるが, |a||b| = 0 であるから, ab = 0 と定めることによって上記の定義に含まれている。

注意: aba×b と書いてはいけない。 これは上で一寸書いた 「外積」 という別のものを意味しているからである。 又高校までは ab と書いてはいけないようである (大学では分野によってはこう書いてしまう)。 内積を (a, b) とか <a, b> とか <a|b> とか書く流儀もある。


さて,

abab = 0

と定義し, ab垂直 perpendicular であるという。 実際, ab = 0 とすると

a = 0, b = 0, cos ∠(a, b) = 0

の何れかが成立しているが, この三番目から ∠(a, b) = ±π/2 + 2nπ (n ∈ Z) であるから, 垂直という用語はこの事実に拠っている。 このように定義したので, zero vector 0 は特に全ての vectors と垂直である。

注意: 平行と一次独立に述べたように, 0 は全ての vectors に平行であり, 今述べたように, 同時に全ての vectors に垂直でもある。 0 以外にこのような性質を持つ vector は存在しない。 このように全ての vectors に対し平行且つ垂直だからこそ角度が定まらないのである。


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