この page では係数は C で良い。 本来ここに述べることは補足に属すべきことかもしれない。
今 x ∈ C (又は R) とするとき
y = (a11x + a12)/(a21x + a22), 但し a11a22 - a21a12 ≠ 0
を一次分数変換 linear fractional transformation といい, A = (ajk) をこの一次分数変換を表す行列という。 仮定によって A は正則だが, この仮定は 一次分数変換が実は定数変換だったということを除外している (各自確かめよ)。 さて
f(x) = (a11x + a12)/(a21x + a22),
g(x) = (b11x + b12)/(b21x + b22)
と置く。 この時
(f°g)(x) = f(g(x)) = (a11g(x) +
a12)/(a21g(x) + a22)
= (a11((b11x + b12)/(b21x + b22)) +
a12)/(a21((b11x + b12)/(b21x + b22)) + a22)
= (a11(b11x + b12) +
a12(b21x + b22))/(a21(b11x + b12) + a22(b21x + b22))
= ((a11b11 + a12b21)x + (a11b12
+ a12b22))/((a21b11 + a22b21)x + (a21b12
+ a22b22))
となる。 これを良く見ると, f°g を表す行列は f と g を表す行列の積であることが分かる。
これから連分数の計算などの興味深い内容が導かれるが, ここでは割愛する。 興味ある読者は参考文献を見ること。
参考文献:
岩堀長慶 「2 次行列の世界」 岩波書店, 数学入門シリーズ 4, 1983.
高木貞治 「初等整数論講義 第二版」 共立出版, 1971.
(もっと新しくて良い本があったら教えてください)