球 (より正確にいえば 「球面 sphere」) とは:

中心 centre と呼ばれる点 C(c1, c2, c3) から半径 radius と呼ばれる一定の距離にある点 P(x, y, z) の集合

のことである。 つまり

S2 = {(x, y, z)| (x - c1)2 + (y -  c2)2 + (z - c3)2 = r2}

をいう。

ベクトルで書くと, C(c), P(p) として, |p - c| = r である。

球を中心を通る平面で切断すると, 切り口は半径 r の円になる。 この円を, その球の大円 great circle と呼ぶ。 容易に分かるように, 球を平面で切断して得られる円の内, 大円が半径最大のものである。

さて, 一つの球の直径の両端点 A(a), B(b) が与えられていたとしよう。 A, B とは異なる球面上の任意の点 P(p) を与えると, 三点 A, B, P で一つの平面を決定する。 この平面で球を切断すると大円が出来る。 この大円で考えれば ∠ABP は直角である。 従って PAPB = 0 で, AP = -PA, BP = -PB であるから即ち APBP = 0, つまり

(p - a)・(p - b) = 0

となる。 この式は当然 P = A 又は P = B でも成立する。 従って, この式が直径の両端点を与えたときの球の方程式になる。

ところで, 球と点, 直線, 平面との距離は, 0 でない限り, 中心とそれらの図形との距離を求めて, 半径を引けばよいということは容易に分かるであろう。


問: 直径の両端 A(a), B(b) が与えられた球の方程式を, 中心と半径を先に求めてから求めよ。

解:

中心の位置ベクトルは (a + b)/2, 半径は |a - b|/2 であるから,

|p - (a + b)/2| = |a - b|/2
|2p - (a + b)| = |a - b|
|2p - (a + b)|2 = |a - b|2
(2p - (a + b))・(2p - (a + b)) = (a - b)・(a - b)
4|p|2 - 4(a + b)・p + |a|2 + 2ab + |b|2 = |a|2 - 2ab + |b|2
4|p|2 - 4(a + b)・p + 4ab = 0
|p|2 - (a + b)・p + ab = 0
(p - a)・(p - b) = 0.


次へ
三次元空間の vectors の目次