R 3 の二つの vectors a, b に対し, それらで張られる平行四辺形の面積 |a||b|sin∠(a, b) を長さに持ち, a を b に 180°以下の角度で回したときに, 右螺子の進む方向に採った vector を a×b と書き, a, b の外積 outer product 又は vector 積 vector product 或いはクロス積 cross product という。
右螺子の進む方向というのは, 分かりにくいが, 普通の座標系で, a が x 軸正の方向, b が y 軸正の方向だとすると z 軸正の方向が a×b の向きである。
或いはこういうことも出来る。 Fleming's left-hand rule (フレミングの左手の法則) を覚えているだろうか。 この法則で電界が ev, 磁界が B とすると, Fleming の左手の法則は F = ev×B と表される事から向きが分かる。
今の定義の述べ方から a×b = -b×a となる。 これを歪対称法則 skew-symmetric law 又は 反対称法則 anti-symmetric law 或いは交代法則 alternating law という。 特に a×a = 0.
(a + b)×c = a×c + b×c. [分配法則]
証明: a = OA 等と原点を支点とする vector で表す。 O を通り, c に垂直な平面を π とし, A から π に降ろした垂線の足を A' として, a' = OA' とすると,
a×c = a'×c,
(a + b)' = a' + b'.
左図で分かるように
a' ⊥ a×c,
b' ⊥ b×c,
(a + b)' = a' + b',
|a'×c|/|a'| = |b'×c|/|b'| = |(a' + b')×c|/|a' + b'|.
向きを考えて,
(a + b)×c = (a + b)'×c
= (a' + b')×c
= a'×c + b'×c
= a×c
+ b×c. □
さて, 右手系の直交座標を採るとき, x, y, z 軸方向の各々の基本ベクトルを e1, e2, e3 とすると,
e1×e2 =
e3,
e2×e3 =
e1,
e3×e1 =
e2;
e2×e1 =
-e3,
e1×e3 =
-e2,
e3×e2 =
-e1;
ei×ei = 0
だから, a = (a1, a2, a3) = a1e1 + a2e2 + a3e3, b = (b1, b2, b3) = b1e1 + b2e2 + b3e3 に対し
a×b = (, , ) = .
上記のように幾何学的に定義しないで, この行列式で外積を定義しても良い。
この行列式から直ぐに c = (c1, c2, c3) に対して (a×b)・c = であることが分かり, 従って明らかに (a×b)・a = (a×b)・b = 0 即ち a ⊥ (a×b) ⊥ b が 分かる。 この式から, (a×b)・c > 0 が a, b, c が一次独立でしかも右手系を作っていることと同値であることが分かる。
又, かなり頑張って成分計算すると
|a×b|2 = (a×b)・(a×b) = |a|2|b|2 - (a・b)2 = |a|2|b|2sin2θ
が確認できる。
尚, * を Hodge の star-operator とすると, 外積とは x×y = *(x∧y) であるということが分かる。