凸函数というのは, 既に述べたのであるが, J. L. W. V. Jensen (イェンゼン, 1859 -- 1925) によって同値な定義として
f((x1 + x2)/2) ≦ (f(x1) + f(x2))/2.
が, 任意の x1 と x2 について成立することと与えられている。 これと任意の個数 n と全ての xi について
f((Σi = 1nxi)/n) ≦ (f(Σi = 1nxi))/n
が成立することと同値であることを数学的帰納法で証明し, 特に f(x) = -log x が凸函数であることから, 一般に証明できるというものである。 勿論 n = 2 の場合の相加平均と相乗平均の関係の証明は既にやったように, 代数的にやっておくのである。
対数函数 f(x) = -log x が, 上記の Jensen の意味で凸であることを最初に示しておこう。
自然対数の底 e > 1 より
log ((x1 + x2)/2) ≧ log √(x1x2) = (log x1 + log x2)/2
だから両辺に -1 を掛ければ示されている。
さて, では
∀x1∀x2(f((x1 + x2)/2) ≦
(f(x1) + f(x2))/2)
⇔
∀n∈N∀xi(f((Σi = 1nxi)/n)
≦ (f(Σi = 1nxi))/n)
の部分を証明しよう。 この証明は小松勇作: 解析概論 [I], 廣川書店, 数学双書 1 による。 みれば分かると思うが, 代数的にやった証明の凸函数全体への拡張になっている。
先ず ⇒ の場合。
n = 2m の場合。
m = 1 は仮定そのものである。 数学的帰納法によって
が分かる。
一般の場合は
∀n∈N ∃m∈N (n > 1 ⇒ 2m-1 < n ≦ 2m)
であるから, 上記の場合を用いて
即ち
即ち
f((Σi = 1nxi)/n) ≦ (f(Σi = 1nxi))/n.
逆は明らか■