正弦函数


三角函数の基本の函数は, 正弦函数, 余弦函数, 正接函数の三種類である。 あと三つあるが, それは基本の函数ではない。 これらの函数の名前の由来についてはここ

これら三つの函数とも基本は直角三角形である。

図の直角三角形で角度 θ (theta, シータ) の対辺の長さを y, 隣辺の長さを x とし, 斜辺の長さを r とする。 このとき

sin θ = y/r

と定義する。 これは二辺の長さの比なので, 直角三角形を相似拡大・縮小しても値が変わらない。 従って角度 θ だけで決まる。 この値を角度 θ に対する正弦 (sine, サイン) という。

覚え方は, 図のように頭文字 s の筆記体から 「斜辺分の対辺」 等と言って覚えたりする。

これだけでは, θ がπ/2 (即ち直角) より大きいときとか, マイナスの値とかのときに困るので, 次のように修正する。

先ず最初に, 角度 θ が鋭角 (0 度から直角まで) の場合について反省する。

一般角の時と同様, 角度は常に x 軸の + 側から反時計回りに測ることにする。

すると殆ど無修正で上記の定義が有効だが, このとき半径 r の円も一緒に描いておく事にする。 更に sin θ = y/r だったから y = r sin θ. 即ち, sin θ とは, この場合, 半径と円との交わりの y 座標を半径で割ったものということになる。

これで, 角度を更に大きくするとき, 円と動径の交わりから常に x 軸の方に垂線を下ろして, 直角三角形を作ることにする。 ここでこの直角三角形で, sin θ = y/r とすればよいが, sin θ とは動径と円との交わりの y 座標を半径で割ったものなのだから, y 座標は + 従って sin θ も + ということになる。 ついでに注意しておくが, 動径 r は常に + である。

いろいろ調べてみると, sin θ の符号は次の図に従うことが分かる。 (r > 0 だから y の符号, 即ち y 軸の符号に従うわけである。)

あとで使う関係上, sin(-θ) がどうなるかを一寸だけ考えておく。

図を見ていただくと, 第一象限の三角形で, sin θ = y/r. 一方 sin(-θ) = -y/r = -sin θ.

これが公式である。 もう一度書くと

sin(-θ) = -sin θ.

これは正弦函数が奇函数であることを示している。


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