有理分数函数の積分 ∫f(x)dx/g(x), f(x), g(x) は多項式, では,
尚, 積分の性質上, 対数函数が出てくる公式 , C は積分定数, が頻発する。
例:
(1) , 先ず分母よりも分子の次数の方が高いので割り算を実行して除法定理を用いると, x3 + x2 + x = (x2 - 1)(x + 1) + 2x + 1 である。 従って
(これを帯分数化と呼んでおく。 --- 今後このプロセスは細かく書かないであろう)
前半は ∫(x + 1) dx = x2/2 + x + C1, C1 は積分定数, である。 問題は後半だが, 以下の部分分数への分解と呼ばれるプロセスを経ると, 計算できることが知られている --- 以下の例ではこのプロセスを省略することもあろう (長くなるから)。 この分母は x2 - 1 = (x - 1)(x + 1) と因数分解できることを用いて
a, b は定数, と置く。 右辺のみ --- 普通の分数と同じように通分をしてから --- 計算して
であるが, 元の式の右辺と比較すると, 分母がまったく一致しているので, 分子
2x + 1 = (a + b)x + (a - b)
は, x の式として同じ式を表していると考えねばならない。 従って
a + b = 2,
a - b = 1
であるから, この連立方程式を解いて, a = 3/2, b = 1/2. 即ち,
元の積分に戻れば C2 を積分定数として
最後に最初の積分に戻って積分定数は一つに纏めれば
, C は積分定数。
尚, 部分分数への分解としては, Lagrange (ラグランジュ) の補間式を用いる方法や Hermite (エルミート) による方法などが知られているが, 説明が面倒なので, ここでは上記のような初等的な方法だけで解説する。
(2) , C は積分定数。
(3)
C は積分定数。
さて一般に a > b とすれば
C は積分定数, である。 以下面倒なので, 積分定数として C
を用いている時は, いちいち断らない。
(4)
(5)
ここに見られるように, 分母が一次でない因数を持っている場合, 例えば (x - a)n というような因数を持つ場合には, 部分分数への分解を行う場合には分母が, (x - a), (x - a)2, (x - a)3, ... ..., (x - a)n の n 個の分数に分解する必要がある。
今の積分は t = 2x + 1 と置き換えても出来る (省略)。
(6)
(7)
ここでは部分分数の分解の仕方に注意してもらう。 先ず
a, b, c, d を定数として
このまま通分してもいいが, 面倒なので, 両辺に (1-x2)2
をかけて分母を払うと
1 = a(1-x)(1+x)2 + b(1+x)(1-x)2 + c(1+x)2 +
d(1-x)2
となるが, ここに x = 1 を代入すると 1 = 4c で, x = -1
を代入すると d = 4d だから
c = d = 1/4. つまり
4 = 4a(1-x)(1+x)2 + 4b(1+x)(1-x)2 + (1+x)2 +
(1-x)2.
この式の両辺を微分すると
0 = -4a(1+x)2 + 8a(1-x)(1+x) + 4b(1-x)2 - 8b(1+x)(1-x) + 2(1+x) - 2(1-x).
ここに x = 1 を代入すると 0 = -16a + 4 より a = 1/4. 同様に x = -1 を代入すると 0 = 16b - 4 より b = 1/4. こうして
(8)
これも t = 2x -1 と置換してもできるが省略する。