S - rS 法については既に 「その他の数列」 という項目で扱っているが, ここではその方法を用いて極限をとる例を幾つか掲げる。
例) 次の級数の収束, 発散を調べ, 収束するときはその和を求めよ。
(1) 1 + 2/3 + 3/32 + 4/33 + … + n/3n-1 + …….
(2) Σn = 1 ∞ n/2n.
(3) 1 + 2・2 + 3・22 + 4・23 + … + n・2n-1 + …….
(4) Σn = 1 ∞ n/(-2)n.
解) 以下で第 n 部分和を Sn と置く。
(1) Sn = 1 + 2(1/3) + 3(1/3)2 + 4(1/3)3 +
… + n(1/3)n-1
(1/3)Sn = (1/3) + 2(1/3)2 + 3(1/3)3 + …
+ (n-1)(1/3)n-1 + n(1/3)n
辺々引算すると
(2/3)Sn = 1 + (1/3) + (1/3)2 + (1/3)3 + …
+ (1/3)n-1 - n(1/3)n
= (1 - (1/3)n)/(1 - 1/3) - n(1/3)n.
Sn =(9/4)(1 - (1/3)n) - (3n/2)(1/3)n → 9/4 (as n → ∞).
よって収束してその和は 9/4.
(2) 同様にして
Sn = (1/2) + 2(1/2)2 + 3(1/2)3 +
4(1/2)4 + … + n(1/2)n
(1/2)Sn = (1/2)2 + 2(1/2)3 +
3(1/2)4 + … + (n-1)(1/2)n + n(1/2)n+1
辺々引算すると
(1/2)Sn = (1/2) + (1/2)2 + (1/2)3 + (1/2)4 + … +
(1/2)n - n(1/2)n+1
= (1/2)(1 - (1/2)n)/(1 -
1/2) - n(1/2)n+1
Sn = 2(1 - (1/2)n) - 2n(1/2)n+1 → 2 (as n → ∞).
よって収束して和は 2.
(3) n・2n-1 → ∞ より, 発散する。
(4) Sn = (-1/2) + 2(-1/2)2 + 3(-1/2)3 +
4(-1/2)4 + … + n(-1/2)n
(-1/2)Sn = (-1/2)2 + 2(-1/2)3 +
3(-1/2)4 + … + (n-1)(-1/2)n + n(-1/2)n+1
辺々引算すると
(3/2)Sn = (-1/2) + (-1/2)2 + (-1/2)3 + (-1/2)4 + … +
(-1/2)n - n(-1/2)n+1
= (-1/2)(1 - (-1/2)n)/(1
+ 1/2) - n(-1/2)n+1
Sn = (-2/9)(1 - (-1/2)n) - (2n/3)(-1/2)n+1 → 2/9.
よって収束して和は -2/9.