さてベクトル方程式で見たように, 直線のベクトル方程式は二つの一次独立な vectors の線型結合 (一次結合) の係数に, 「和を採ると 1 に等しい」 という条件をつけたものであることが分かった。 従って, この条件をもう少し変えるとどうなるかということを見ていこう。
最初に条件を厳しくしていってみよう:
[1.1] s > 0, s + t = 1
この条件下では t = 1 - s なので
p = sa + tb = sa + (1 - s)b = b + s(a - b).
従って, 図から分かるように半直線 BA (B は含まない) である。
このことから直ぐ分かるように
[1.2] s ≧ 0, s + t = 1
では B を含む半直線 BA,
[1.3] t > 0, s + t = 1
では A を含まない, 半直線 AB,
[1.4] t ≧ 0, s + t = 1
では A を含む, 半直線 AB をそれぞれ表している。
このことから又
[1.5] s > 0, t > 0, s + t = 1
の時は (実は 0 < s < 1, 0 < t < 1 でもあって), 両端点を含まない線分 AB を表していることが分かる。
この式で s = n/(m + n), t = m/(m + n) と置くと, この式は内分点の公式と比較すると, [1.5] の方では A(a), B(b), P(sa + tb) とするとき, 点 P は線分 AB を t : s に内分する点であることが分かる。
同様のことは外分点についても言えるので, 直線のベクトル方程式は内分点の公式, 外分点の公式の拡張であるということが出来る。
次に条件を緩めて
[2.1] 0 < s < 1, 0 < t < 1
とすると,
図から分かるように, a, b の作る平行四辺形の内部 (境界は含まない) になる。
境界を含ませようとすれば
{2.2] 0 ≦ s ≦ 1, 0 ≦ t ≦ 1
である。
[2.3] 0 < s + t < 1, s > 0, t > 0
この時は
p = sa + tb = (s + t)((s/(s + t))a + (t/(s + t))b)
で, 容易に分かるように s/(s + t) + t/(s + t) = 1, s/(s + t) > 0, t/(s + t) > 0 であるから, [1.5] の結果から △OAB の内部を表していることが分かる。 境界を含めるときは全てに等号をつければよい。