△ABC について一つの頂点と 「その対辺の中点」 とを結んで出来る線分を中線 median (line) という。
定理 [重心定理]
三角形の三中線は一点で交わる。
証明: A(a), B(b), C(c) として△ABC を考え, 辺 BC の対辺の中点を MA 等々と置くと, 分点の公式から MA((b + c)/2), MB((c + a)/2), MC((a + b)/2) である。 直線のベクトル方程式より, 三中線の方程式は
A∪MA: p1 = (1 - t1)a
+ t1(b + c)/2,
B∪MB: p2 = (1 - t2)b
+ t2(c + a)/2,
C∪MC: p3 = (1 - t3)c
+ t3(a + b)/2
となる。 従って (A∪MA)∩(B∪MB) (つまり中線 A∪MA と B∪MB との交点) を考えると, 上記の上二つの式から
(1 - t1)a
+ t1(b + c)/2 = (1 - t2)b
+ t2(c + a)/2.
2(1 - t1)a
+ t1b + t1c = 2(1 - t2)b
+ t2c + t2a
(2 - 2t1 - t2)a + (t1 - 2 + 2t2)b
+ (t1 - t2)c = 0
(2 - 2t1 - t2)a + (t1 - 2 + 2t2)b
- ((2 - 2t1 - t2) + (t1 - 2 + 2t2))c
= 0
(2 - 2t1 - t2)(a - c) + (t1
- 2 + 2t2)(b - c) = 0.
ここで a - c と b - c が一次従属とすると CA || CB. よって共線の定理によって三点 A, B, C が同一直線上にあって △ABC が作られていることと矛盾するから a - c と b - c は一次独立。 従って
2 - 2t1 - t2 = 0,
t1 - 2 + 2t2 = 0.
この連立方程式を解くと t1 = t2 = 2/3. 従って G(pG) = (A∪MA)∩(B∪MB) とすると
pG = (1/3)a + (2/3)((b + c)/2) = (a + b + c)/3.
同様にして G'(pG') = (B∪MB)∩(C∪MC) を考えると t2 = t3 = 2/3. となって pG = pG' を得る。 従って (A∪MA)∩(B∪MB) = (B∪MB)∩(C∪MC). 即ち三中線は一点で交わる□
この三中線の交点をこの三角形の重心 barycentre, centre of gravity, centroid という。
系
三角形の重心はその中線を頂点の方から 2 : 1 に内分する。
系
△ABC の三頂点を A(a), B(b), C(c), その重心を G(g) とすると
g = (a + b + c)/3.