法線の応用の一つとして, 直線 l: ax + by + c = 0, a2 + b2 ≠ 0 から, その外にある一点 P0(x0, y0) との距離を求めてみよう。
法線の公式から b(x - x0) - a(y - y0) = 0 であるから即ち bx - ay - (bx0 - ay0) = 0 である。 これら二直線の交点 H が即ち P0 から元の直線 l に引いた垂線の足であって, 仮定から a2 + b2 ≠ 0 なので連立させて解くと
H((b2x0 - aby0 - ac)/(a2 + b2), -(abx0 - a2y0 + bc)/(a2 + b2))
となる。 図から分かるように, 最初に与えられた直線 l と点 P0 との距離は線分 P0H の長さに等しい。
ここで
P0H = OH - OP0
= (-a(ax0 + by0 + c)/(a2 + b2),
-b(ax0 + by0 + c)/(a2 + b2))
であるから, 求める距離は
√[(a2 + b2)(ax0 + by0
+ c)2/(a2 + b2)2]
= |ax0 + by0 + c|/√(a2 + b2)
となる。 これを Hesse の公式 (Hesse の平面上の直線と点との距離の公式) という (私は高校の時に Hesse の公式として習ったのだが, 通じない場合があったので, 括弧内のようにちゃんと言った方がいいかもしれない)。