Vectors を用いて Euclid 空間論を打ち立てることも出来る (そちらの方が現代的か) が, ここでは逆に Euclid 空間論を基礎にしているので, ここで Euclid 空間論の復習をする。 Vectors を基礎とする立場を採る人は必ずしもここを読む必要はない。
公理:
よって次のことが分かる。
定理
平面は
i) 一直線とその上にない一点
又は
ii) 交わる二直線
で決定する。
以下, 平面上の Euclid 幾何の公理は仮定する。
公理: 4. 或る一つの平面を考える。 この平面上にない点が存在する。
(∃P ¬(P ∈ α)).
従って
定理
平面上の一点 P と, 平面上にない一点とを結んで出来る直線との交点は唯一点 P である。
(P ∈ α, ¬(Q ∈ α), l = P∪Q ⇒ l∩α = P)
公理:
この公理 6 の二平面 α と β は平行である parallel といい, α || β と書く。 従って
定理
平面外の一点を通り, 元の平面と交わらない直線が存在する。
(¬(α∋P)∃l∩α = Æ)
この α と l は平行であるといい l || α と書く。
注意:
l || α, l || β でも α || β とは限らない。
同様に, l || α, m|| α であっても l || m とは限らない。
定義
・同一平面上にあり, 交わらない相異なる二直線を平行であるといい, l || m と書く。
・交わることもなく, 平行でもない二直線はねじれの位置 twisted position, skew position にあるといわれる。
定義
直線 l と平面 α が垂直 perpendicular l ⊥ α とは
P = l ∩α を通り, α に含まれる全ての直線 m に対し l ⊥m となること
である。
(l ⊥ α ⇔ ∃P = l ∩α & P ∈∀m ⊂ α(l⊥m)).
定理
直線 l とそれに交わる平面 α について P = l ∩α とする。 この時
l ⊥ α ⇔ ∃m1, m2 ⊂ α(m1 ≠ m2, P∈mi & l⊥mi).
証明:
l ⊥ α の十分性は明らか。
必要性: P∈∀n ⊂ α を採る。
¬P∈g, g ⊂ α, ∃Ai = g∩mi, B = g∩n とする。
P ≠ Q ∈ l を採り,
Q ≠ Q' ∈ l (PQ = PQ')
とする。
この時 △AiQQ' は二等辺三角形であることは容易に分かる。 しかも直ぐに
△AiQB ≡ △AiQ'B
も分かる。
従って QB = Q'B であるから, PQ = PQ' と合わせて
l = Q∪Q' ⊥P∪B = n□
[三垂線の定理]
平面 α とその上にない一点 P, 直線 l ⊂ α と A ∈ l を与える。
この時 P' ∈ α に関し次の三つが成立する。
- P∪A ⊥l, P'∪A ⊥l, P∪P'⊥P'∪A ⇒ P∪P'⊥α
- P∪P'⊥α, P∪A ⊥l ⇒ P'∪A ⊥l.
- P∪P'⊥α, P'∪A ⊥l ⇒ P∪A ⊥l.
証明:
1. P∪A ⊥l, P'∪A ⊥l
⇒ P∪P'∪A⊥l
⇒ P∪P'⊥l.
& P∪P'⊥P'∪A.
∴P∪P'⊥α (= l∪(P'∪A)).
2. P∪P'⊥α ⇒ P∪P'⊥l
(これは α 内で P' ∈ l' となる l || l' を引いたとき l'⊥P∪P' ということを意味している)
& P∪A ⊥l.
∴P∪P'∪A⊥l.
∴P'∪A⊥l.
3. P∪P'⊥α ⇒ P∪P'⊥l.
& P'∪A ⊥l
∴P∪P'∪A⊥l.
∴P∪A ⊥l□
この時点 P' を 「点 P の平面 α への正射影 orthogonal projection」 又は 「点 P から平面 α に降ろした垂線の足 foot of perpendicular」 という。