平面の方程式の一般形は Ax + By + Cz + D = 0 という形をしていた。 容易に分かるように, もしも (A, B, C) = 0 であるならば, この式自体が D = 0 となって平面を表さないことは明らかだから, (A, B, C) ≠ 0 である。 この, 平面に付随した 0 でない vector n = (A, B, C) を元の平面の法 (線) ベクトル normal vector という。
さて平面 π: Ax + By + Cz + D = 0 を生成するベクトル (の一組) を前のようにd1 = (d11, d21, d31), d2 = (d12, d22, d32) と置こう。 この時平面 π に平行な全ての vectors は ad1 + bd2 と書けるが, 法線ベクトル n はその全てに垂直である。 実際, 内積の分配法則により, もしも d1⊥n⊥d2 ならば n・(ad1 + bd2) = an・d1 + bn・d2 = 0 だから n⊥d1, n⊥d2 のみを示せばよい。 ところで平面の方程式の page に示したように
n = (d21d32 - d22d31, -(d11d32 - d31d12), d11d22 - d12d21)
(又はその 0 でない定数倍) と書けるから, 内積の成分による表示より
n・d1 = (d21d32 - d22d31)d11 - (d11d32 - d31d12)d21 + (d11d22 - d12d21)d31 = 0.
同様にして n・d2 = 0 も言える。
このように法線ベクトルは平面に平行な全ての vectors に垂直である。
さて, 平面上の一点 A を通り法線ベクトルを方向ベクトルにもつ直線を, その平面の点 A を通る法線 normal line という。 これは又後ほど言及されるであろう。
更に n ≠ 0 を法線ベクトルとして持ち, 一点 A(a) を通る平面上の点を P(p) とすると
n・(p - a) = 0
が成立することが分かる。 これも平面のベクトル方程式と呼ばれることがある。