平面の方程式


1. 平面のベクトル方程式

1.1 原点を通る場合

V3 の中の二次元部分空間を原点を通る平面と呼ぶ。 丁度原点を通る直線が一次元部分空間であったのと同じである。 二次元部分空間の所で述べたように a, b を一次独立なベクトル, 即ち ¬(a || b) とする。 この時集合論的に RaÅ Rb = {sa + tb | s, t ∈R} であるから

p = sa + tb

と書ける。 これが原点を通る平面のベクトル方程式であり, s, t を媒介変数, a, b をこの平面を生成する generating (一次独立な) ベクトルという。

直線の方向ベクトルが一意に定まらないように, 平面を生成するベクトルの組も一意には定まらない。

ここで暫く二つの二次元部分空間が一致するための条件を調べてみよう。

¬(a || b) & ¬(a' || b') & RaÅ Rb = Ra'Å Rb'
⇔ ¬(a || b) & ¬(a' || b')
 & a' = s1a + t1b
   b' = s2a + t2b (∵ a' ∈ RaÅ Rb &c.)
⇔ (a' b') = (a b) ( s1 t1 ) & det ( s1 t1 )  ≠ 0.
s2 t2 s2 t2
⇔ ∃A ∈ GL2(R) (a' b') = (a b)A.

この A が基底の変換行列と呼ばれるものであることは既に述べた。

1.2 一般の場合

直線の場合でやったように, 原点を通る場合の方程式を平行移動すればよい。

今, 定点 A(a) を通り d1, d2 で生成される平面 π 上の点を P(p) と置くと, 平行移動して P'(p - a) は d1, d2 で生成される原点を通る平面上にある。 従って 1.1 より p - a = sd1 + td2. 従って

p = a +  sd1 + td2.

これを更に B(b), C(c) ∈ π, d1 = b - a, d2 = c - a とすると

p = (1 - s - t)a + sb + tc

であるが, ここで更に r = 1 - s - t と置くと

p = ra + sb + tc, r + s + t = 1

となる。 これらが三点 A(a), B(b), C(c) を通る平面のベクトル方程式である。


2. 平面の方程式の媒介変数表示

直線の場合でやったのと同様に P(x, y, z), A(a1, a2, a3), d1 = (d11, d21, d31), d2 = (d12, d22, d32) とすると平面のベクトル方程式 (最初のもの) は (ある程度 browser の幅を採らないと表示が乱れる)

( x )  =  ( a1 )  + s ( d11 )  + t ( d12 )  =  ( a1 )  +  ( sd11 )  +  ( td12 )  =  ( a1 + sd11 + td12 )
y a2 d21 d22 a2 sd21 td22 a2 + sd21 + td22
z a3 d31 d32 a3 sd31 td32 a3 + sd31 + td32

となる。 即ち

x = a1 + sd11 + td12,
y = a2 + sd21 + td22,
z = a3 + sd31 + td32

である。 勿論 A(a1, a2, a3), B(b1, b2, b3), C(c1, c2, c3) を通る平面では

x = a1 + s(b1 - a1) + t(c1 - a1),
y = a2 + s(b2 - a2) + t(c2 - a2),
z = a3 + s(b3 - a3) + t(c3 - a3)

と書ける。


3. 平面の方程式の一般形

最初に d32 ≠ 0 を仮定しておく。 先ず上記の平面の方程式の媒介変数表示 (最初の方) から

x - a1 = sd11 + td12,
y - a2 = sd21 + td22,
z - a3 = sd31 + td32

である。 簡単の為に x' = x - a1 &c. と置くと

x' = sd11 + td12, … (ア)
y' = s + td22, … (イ)
z' = sd31 + td32 … (ウ)

である。 ここで (ア)d32 - (ウ)d12, (イ)d32 - (ウ)d22 を計算して t を消去すると

d32x' - d12z' = s(d11d32 - d31d12),
d32y' - d22z' = s(d21d32 - d31d22)

となる。 簡単の為に D1 = d11d32 - d31d12, D2 = d21d32 - d31d22 とすると

d32x' - d12z' = sD1, … (エ)
d32y' - d22z' = sD2 … (オ)

であるから, (エ)D2 - (オ)D1 を計算して s を消去し Di の値を入れて整理する。 仮定 d32 ≠ 0 より辺々これで割ると

(d21d32 - d22d31)x' - (d11d32 - d31d12)y' + (d11d22 - d12d21)z' = 0. … (カ)

従って

Ax + By + Cz + D = 0

という形をしていることが分かる。 これが平面の方程式の一般形である。 初めの仮定 d32 ≠ 0 は, 元から d2 ≠ 0 なので, もしも d32 = 0 の時は d12 ≠ 0 又は d22 ≠ 0 なので, そちらを用いてやれば同様にできる。

注意: 上記の (カ) の式はあとで三次の行列式をやると

det ( x - a1 d11 d12 )  = 0
y - a2 d21 d22
z - a3 d31 d32

という簡単な形で示されることが分かる。


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