V を V3 又は V2 とする (基礎体はこれまでと同様 R)。 今 W ⊂ V が次の二条件を満たすとき W を V の部分空間 subspace と呼ぶ。
例:
V2 =~ R2 の例は三つしかない (=~ は同型)。
O ⊂ V2:
O = {0} とすれば, 明らかに上記の二条件を満たす。 これが 0 次元の部分空間である。
O ⊂ W ⊂ V2, 但し O ≠ W ≠ V2 とする。 O ⊂ W 且つ O ≠ W であるから ∃a ∈ W (a ≠ 0) であって, 上記の条件の二番目から Ra ⊂ W である。 一方もし ∃b(¬(b∈Ra) & b ∈ W) だとすると条件の一番目から RaÅ Rb ⊂ W となるが, 実は平面の時の標準基底と成分の所に書いたように, 実は RaÅ Rb = V2 であるから V ⊂ W ⊂ V でしかも V ≠ W だから矛盾である。 従って W = Ra でなければならない。 そしてこの時 ∀x∀y ∈ W∃k∃m∈R(x = ka & y = ma) であるから x + y = ka + ma = (k + m)a ∈ Ra = W. 従って ∀x∀y ∈ W(x + y ∈ W) が成立する。 これは W = Ra であること, 又 scalar 倍 (及び直線の方程式)の所に書いたようにこの W ⊂ V2 という部分空間は 「原点を通る直線」 を表していることが分かる。 これが一次元の部分空間である。 それ故屡々 V1 と書かれる。
上記から分かるように Ra ⊂ W ⊂ V2, 但し Ra ≠ W とすると必然的に W = V2 となる。 V2 自身も V2 の部分空間に入れておく。
以上のように明らかなものを除けば, V2 の部分空間は原点を通る直線 Ra の一種類である。
V3 =~ R3 での例は四つある。
O ⊂ V3: これは V2 の時と同様である。 これも 0 次元の部分空間である。
a ∈ V3, a ≠ 0 に対し W = Ra が部分空間の二つの条件を満たすことは既に見た。 これが一次元の部分空間である。
a ∈ V3, a ≠ 0, 但し Ra
≠ W ≠ V3 とする。 この時 Ra ⊂ W ⊂ V3, Ra
≠ V3 だから ∃b(¬(b∈Ra) & b ∈
W) で, 部分空間の条件の二番目から Rb ⊂ W である。 従って最初の方の条件から
RaÅ
Rb ⊂ W. ここでもしも ∃c(¬(b∈RaÅ
Rb) & c ∈
W) とすると同様に Rc ⊂ W となるが, 作り方から
RaÅ
RbÅ
Rc = V3 であり, V3 ⊂ W ⊂ V3 でしかも V3
≠ W だから仮定に反する。 従って W =
RaÅ
Rb である。
¬(b∈Ra) & b ∈
W は a と b が一次独立であることを示している。 又 W =
RaÅ
Rb とは W =~ V2 =~ R2 を表している。
これが二次元の部分空間である。 このことから適当な部分空間に制限してやれば分点や直線の方程式に述べたことは
V3 でも成立することが分かる。
上記に述べたように RaÅ Rb ⊂ W ⊂ V3 で RaÅ Rb ≠ W とすると, ¬(a || b) である限り W = V3 となる。 平面の時と同様, これも部分空間の一種と見なす。