数 a, b について 「a が b より大きい」 ということを a > b で,
「a が b より小さい」 ということを a < b で,
「a が b より大きいか等しい」 又は 「a が b より小さくない」 ということを a ≧ b で,
「a が b より小さいか等しい」 又は 「a が b より大きくない」 ということを a ≦ b で各々表す。
ここに現れた四つの記号 <, >, ≧, ≦ を不等号 inequality sign という。 不等号で表された式を不等式 inequality という。 等式, 方程式と同様, 上記の不等式の a は不等式の左辺 left hand side (lhs) にあるといわれ, b は右辺 right hand side (rhs) にあるといわれる。 左辺と右辺とを合わせて両辺 both sides という。
全ての数は a = b, a > b, b > a の何れか (しかもどれか一つだけ) が成り立つ。 この事実を実数は (> に関して)
全順序集合を作るという。 次のことは明らかであろう。
a > b ⇒ a ≧ b
a < b ⇒ a ≦ b
a > b ⇒ b < a
a ≧ b ⇒ b ≦ a
a < b ⇒ b > a
a ≦ b ⇒ b ≧ a.
最後の四つを反対称法則 anti-symmetric law という。 又, < と >, ≦ と ≧ は逆順序を作るという。
a < b, b < c ⇒ a < c [推移法則 transitive law].
推移法則は勿論 > や等号付き不等号 ≧, ≦ についても成立するが, 全部掲げると長くなるので省略する。 推移法則に基づいて, a < b で且つ b < c であることを a < b < c と書く。
注: しかしだからといって a < b > c や a > b < c と書くと, a と c の大小関係が不明になるのでこのように直線的に書くときは不等号の向きは同じもの以外を出してはいけない。 勿論同じ向きであれば等号付きのものを混ぜて a < b ≦ c のように使うのは問題がない。
a > 0 である数を正の数という。 a < 0 である数を負の数であるという。